今回は、知らないうちに多くの人が影響を受けている「バンドワゴン効果」についてお話します。
あなたは「バンドワゴン効果」という心理効果をご存知でしょうか?
もし、あなたがバンドワゴン効果を知らないとしても、知らない間に日常生活の中で影響を受けています。
具体的には、あなたが「みんなが選んでいるもの」を選んだ経験があるのなら、バンドワゴン効果の影響を受けていたことになります。
なぜなら、人間は「多くの人が選んでいるものに魅力を感じる」という性質を持っているからです。
- ガイドブックに載っているお店
- 地元で話題のお店
- タクシーの運転手に聞いたお店
- 食べログで評価3.5以上のお店
- テレビで紹介されたお店
人が行列の出来ているお店を選んでしまうのには理由があるんですね。
今回は、その根本原因となる「バンドワゴン効果」について、具体例も交えながらお伝えしていきますので参考にしてみてください。

テレビで放送されるとすぐに行きたくなるんですよね~



影響されやすそうだもんね
バンドワゴン効果とは?


バンドワゴン効果は、アメリカの理論経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱されました。
具体的には、1950年に発表した論文「Bandwagon, Snob and Veblen Effects in the Theory of Consumers’ Demand(消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、及びヴェブレン効果)」の中で紹介されています。
バンドワゴン効果(バンドワゴン効果、英: bandwagon effect)とは
多数がある選択肢を選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果。「バンドワゴン」とは行列先頭に居る楽隊車[1]であり「バンドワゴンに乗る」とは時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗る[2]という意味である。経済学・政治学・社会学などで遣われる。対義表現は「アンダードッグ効果」
引用:バンドワゴン効果 – Wikipedia
簡単にいうと、バンドワゴン効果とは「多数に人気のあるもの」や「支持されているもの」に人は惹かれてしまうということです。
ハーヴェイ・ライベンシュタイン氏は、バンドワゴン効果のほかにも2つの心理効果について話しています。
詳細については、次の章で簡単に説明していきますね。
バンドワゴンと一緒に発表された2つの心理効果とは


バンドワゴン効果と似た心理として、ライベンシュタイン氏は以下の2つの心理効果について発表しました。
- スノッブ効果
- ヴェブレン効果
上記の心理効果は、バンドワゴン効果と一緒に「あわせて押さえておきたい心理効果」なのでひとつずつ解説しますね。
スノッブ効果の意味:他人と同じものは欲しくないという心理
スノッブ効果(Snob effect)とは、「他人と同じものは欲しくない」という心理のことです。
珍しいものほど価値を感じ、一般化するほど需要が減る現象のことをいいます。
スノッブ効果
スノッブ効果とは、他者の消費が増加していくほど、購買者個人の需要は減少するという効果のことである。アメリカ合衆国の理論経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱された。
スノッブ効果は、多くの人が所有している商品には希少価値がないため、自分は同じ商品を持ちたくない、あるいは、他の人とは違う商品を所有することで希少性への欲求を満たしたいという心理作用に基づいたものである。
スノッブ効果は、マーケティング戦略の1つとして用いられる。期間限定商品や会員限定商品などと謳った商品販売はスノッブ効果を狙った商法といえる。これらの商品は、多くの人に受け入れられるものである必要はなく、希少性の高い材料を用いるケースが多い。
引用:スノッブ効果とは – IT用語辞典 Weblio辞書
わかりやすくいうと、人気店よりも「穴場のお店を知っている」という希少性に価値を見出す心理効果」のことです。
たとえば、1店舗の時は超人気だったラーメン屋が、多店舗展開したことで、人気が低迷してしまうことがあります。
この現象は「あそこにいかないと食べられない」という、希少性や限定性を失ったことで起こる、スノッブ効果によるものです。
ヴェブレン効果:商品の価格が高まるほど効果が高まると思い込む心理
ヴェブレン効果は、商品の価格が高くなるほど効果・効能も高まると思い込む心理のことをいいます。
ヴェブレン効果
ヴェブレン効果とは、高価な商品ほど、顕示的消費が増加するという効果のことである。
ヴェブレン効果は、多くの人が所有することのできない高価な商品を所有し、顕示欲を満たして優越感に浸りたいという心理作用に基づいたものである。
ヴェブレン効果は、マーケティング戦略の1つとして用いられる。高価な貴金属やブランド品、車などはヴェブレン効果を狙った商法といえる。
引用:ヴェブレン効果とは – IT用語辞典 Weblio辞書
たとえば、ダイソンの掃除機って「掃除機の中では高級な部類」ですが、景気の良し悪しに関わらず人気ですよね。
このダイソンがもし、1,000円で売っていたらあなたは買うでしょうか?



「なんで、本来数万円するダイソンが1,000円なんだ?」「何か理由があるのでは? 偽物? 怪しい……」



本物なわけないでしょ!
おそらく「安いことが原因で、かえって疑ってしまう」はずです。
世間一般のダイソンに対する認識が「5万円の高級掃除機」ならば、5000円で売っていることが「家電量販店の企業努力による値下げ」だったとしても、消費者には不安に感じるというわけですね。
ここまでは、バンドワゴン効果と似た心理効果を2つ紹介しました。
次の章では「バンドワゴン効果の反対の意味を持つ心理効果」の紹介をしておきます。
バンドワゴン効果の反対語「アンダードック効果」とは?
バンドワゴン効果の対義語にアンダードッグ効果というものがあります。
アンダードック効果
判官びいき効果。選挙前の予測で不利とされた候補者に「判官びいき」で票が集り、選挙の結果は逆に勝つという、選挙予測の効果のこと。
選挙の予測報道にこの効果があることは、世論調査データの分析により 1940年代にアメリカで最初に発見された。
これはアナウンスメント効果の一形態と考えられる。
以前日本では「負け犬効果」と直訳されて用いられたこともあったが、意味を誤って伝える可能性もあるので「判官びいき効果」と訳されるようになった。
引用:アンダードッグ効果(アンダードッグこうか)とは – コトバンク
アンダードッグ効果は、負け犬効果とも呼ばれます。
たとえば、前回落選した候補者が「今回こそは当選できるよう全力を尽くします」と発言することで、有権者が情に流され、得票率が上がることがあります。
これは、自分の応援している選挙候補が前回敗れてしまったことを残念に思っている有権者が一致団結した時などに起こります。
「今回こそはがんばろー!」と一体になる空気感は、劣勢な状況にあるものを助けたくなる人間の心が働くことで起こります。
バンドワゴンの効果:世の中の流行は人々を巻き込んで引き起こされる
世の中の流行は多くの場合「バンドワゴン効果」によって巻き起こされます。
たとえば、新装オープンするお店の店主が友人などに頼んだり、アルバイトを雇ってまで行列を作る「さくら作戦」をするのもバンドワゴン効果を狙ってのことです。
- 人が人を呼ぶ
- 行列が人を引き寄せる
このような心理効果を狙っているわけですね。
ウェブの世界では、バンドワゴン効果によるこの傾向が顕著です。
たとえば、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)では、いかに媒体の機能が優れていたとしても、利用者が少なければあっという間に淘汰されてしまいますからね。
日本で最も利用者が多いのはLINEで、2012年には20.3%しかなかった普及率が、2016年には67%にまで激増するまでに成長しています。


SNSの普及率について
我が国における代表的なSNSであり、経年比較可能なLINE、Facebook、Twitter等の6つサービスのいずれかを利用している割合をみると、全体では、2012年の41.4%から、2016年には71.2%にまで上昇しており、スマートフォンと合わせてSNSの利用が社会に定着してきたことがうかがわれる。
年代別にみると、10代20代は2012年時点から利用率が比較的高い傾向にあったが、20代は2016年には97.7%がいずれかのサービスを利用しており、この世代ではスマートフォンやSNSが各個人と一体ともいえる媒体となっている。
40代50代は2012年時点の利用率はそれぞれ、37.1%、20.6%であったが、2014年から2015年にかけ利用率が上昇し、2016年にはそれぞれ利用率が80%程度、60%程度となっている。
出典:総務省|平成29年版 情報通信白書|SNSがスマホ利用の中心に
このようにSNSではLINEが首位を独走している状態ですが、ユーザーを獲得するという目的においていえば、1位と2位の差は、2位と100位の差よりも大きいといわれているくらい、影響力の違いがでてきます。
その証拠に、あなたは日本一高い山の名前と山の高さを答えることができるでしょうか?
おそらく問題なく答えたはずです。
答えは、「富士山」で高さは「3,776メートル」ですね。
では、2位の山の名前と高さを答えることができるでしょうか?
おそらくほとんどの人が答えることができないはずです。
答えは「北岳」で「3,193メートル」です。
富士山と高さは変わらないのに、「2位」という立場なだけで「1位と大きく認知度を広げられてしまう」わけです。
では、ここから具体的に「バンドワゴン効果がどのように使われているのか」を事例も交えてお伝えします。
バンドワゴン効果をマーケティング戦略に活かすには?


バンドワゴン効果は、マーケティングにも大きな影響を及ぼします。
MAU(マンスリーアクティブユーザー)が20億人を突破した、世界最大のSNSであるFacebookは、個人だけでなく企業のマーケティング目的でも広く活用されています。
MAUとは
MAUは「Monthly Active Users」の略で、月間アクティブユーザー数のこと。ソーシャルメディアやソーシャルアプリなどで、適切な利用者数を示す値として使われる指標。
参照:MAU – MarketingPedia (マーケティング用語集Wiki)
たとえば、会社用にFacebookページを作って情報発信したり、コメント欄やメッセージを使って交流して、顧客とコミュニケーションを図っていますよね。
30~40代以上の利用者が多いことから、企業にとっては重要なSNSです。
ただ、Facebookページにおいては、バンドワゴン効果が逆の力を発揮して、マイナスイメージを植え付けてしまうケースがあります。
それは、Facebookページの「いいね!」があまりにも少ない場合です。
ホームページを訪れた訪問者が、あなたのFacebookページの「いいね!」数を見たとき。



あれ? 「いいね!」が5しかない」
このような印象を与えてしまったとしたらどうでしょう?



この会社は人気がないんだろうな~
おそらく心の中でこんなことを思いますよね。
さらに「いいね!」の数が少ないことは、見せかけの印象だけではなく「投稿しても拡散されず、ほとんど反応がない」という悲しい状況を引き起こす原因になる可能性もあります。
このような印象を持たれてしまうと、商品やサービスはいいモノなのに「低評価を受けてしまう」可能性があります。
そのため、「いいね!」を増やすための広告などが存在するわけですね。
極端な話、「こんな小さなお店なのに、こんなにいいね!されているなんて、きっといいお店に違いない」と思ってもらうことができれば、バンドワゴン効果が発揮されていると言えます。
では、ここからは「バンドワゴン効果」の具体例を紹介していきます。
【例文付き】バンドワゴン効果をセールスに活用している事例


バンドワゴン効果は、セールスレターを書く際にもよく使われています。
たとえば、下記のようなキャッチーな言葉を1度は見たことがあるはずです。
- ○○部門第一位!
- 全米興行収入No1!今注目の最新映画
- 1秒に1個売れている○○
- 顧客満足度 NO1
こんな「キャッチ―な言葉」をあなたも見たことがあるはずです。
ほかにも、通信販売の番組で「ただいま申し込みが殺到中」というようなテロップが表示されるのを見たことがあるのではないでしょうか?
これには、「みんなが買ってるよ!」と思わせることで、「自分も今買わないと損しちゃうかも」と感じて「注文する」という行動を起させる目的があるわけですね。
このように、「バンドワゴン効果」は購入率を上げるための方法として様々なシーンで使われています。
では、実際にセールスレターの中で「どんな使い方をされているのか」を少し紹介してみましょう。
事例1.売上日本一(カイテキオリゴ)


全国売上日本一!信頼と実績で1分に1個売れています!
このように「ネットと口コミだけで30万人に広まった」「売上日本一」など、工夫を凝らして自社がナンバーワンになる指標をアピールしています。
さらには、お客様の声も顔を掲載することで、「みんなが選んだものを使っているんだ」という安心感を持ち続ける効果があるわけです。
事例2.6年連続売上NO.1 (ビオレエッセンス)


6年連続売上数量NO.1 ビオレエッセンスの軌跡!
単発の売上ではなく、6年間にもわたり売上数量NO.1 を維持しているという実績を出すことで、「みんなが選び続けているなら間違いない」と思わせる心理を働かせることになります。
事例3.レッツノート満足度調査


90%以上のユーザーが満足&やや満足
「本体の軽さ」「頑丈さ」「バッテリーの駆動時間」など様々な部門で、愛用者調査。
すべての項目で満足度が高いという調査結果を表現しています。レッツノートは性能を重視した愛用者が多いため、こういう調査が所有欲を満たすことに繋がりようですね。
今お伝えしたように、「みんなが使っている」「今、流行っている」というアピールをすることで、読者の興味を引くことができるのもバンドワゴン効果の影響と言えます。
まとめ.バンドワゴン効果をうまく使って読者の興味を引きつけよう


今回お伝えしたように、バンドワゴン効果は、「選挙」や「マーケティング」など、幅広い場所で使われている効果です。
あなたも気づかないうちに、自分の選択がバンドワゴン効果によって動かされていることもあるでしょう。
バンドワゴン効果は日本人に特に効果的な手法だといわれています。
日本人は「みんなと同じだと安心」だと考える傾向にある民族なので、手段心理を使った心理誘導に弱いわけです。
今回お話したバンドワゴン効果のほかにも、人間心理を利用したマーケティング手法はたくさんありますので下記の記事で紹介しています。


あなたの商品やサービスに行列を作るためにバンドワゴン効果を活用してみてください。
では、最後までありがとうございました。
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