この記事では、人気映画や漫画など「人々を魅了する物語の秘密」である「神話の法則」について解説していきます。
あなたにもお気に入りの「漫画」や「映画」があるのではないでしょうか?
では、なぜその「漫画」や「映画」を好きになったのでしょう。
おそらくあなたがその作品を好きになった理由は内容が面白いのはもちろんのこと、「物語」や「キャラクター」に共感して好きになったのだと思います。
多くの「人々を魅了する物語」は、「神話の法則」というテンプレ-トに基づいて作られています。
今回の記事では、人々を魅了する「神話の法則」という基本原則をお伝えした上で、ライティングにストーリーの要素を盛り込む方法を解説していきます。
ストーリー性のある文章を書けるようになれば、一気に読者を引き込むことも可能になるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「神話の法則」とは?そもそも何なの?
「神話の法則」ライターズ・ジャーニーは、著者のジョーゼフキャンベルが、彼自身の神話研究とカール・Gユングの深層心理学をもとに書いた「ヒーローズ・ジャーニー」をさらに発展させたものです。
「ヒーローズ・ジャーニー」は人間観察の結果をもとに書かれた本で、物理や科学が自然界の原則であるように、ストーリーの美しい構成の発見であると同時に、「人生」あるいは「ストーリーテリング」の基本原則を表しています。
簡単にいうと「神話の法則」は、著者のクリストファーフォグラー氏が、ライター向けのガイドブックを書こうと思い「ヒーローズジャーニー」のコンセプトと現代的なストーリーライティングを何とか結びつけようと試行錯誤してできあがったものなんです。
神話の法則も「書籍」になっています。
ね、値段が高い!?
実は、神話の法則はすでに廃刊になってるから、中古品の価格が高騰してるんだよね
僕は「神話の法則」「英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)」「千の顔を持つ英雄」をすべて持っていますが、どの本も読み応えのある本なので、興味があれば読んでみるといいですよ。
ただ、神話の法則を定価で購入したとしても、「神話の法則+英雄の旅」の2冊で7,000円以上するので購入を躊躇する方も多いと思います。
そんな方のためにも理解していただけるよう、今回の記事では「本を読まなくてもストーリーテリングのエッセンスは理解できる」ようにお話ししていきます。
神話の法則は「どんな作品」で使われているの?
実は、神話の法則は文章だけではなく、マンガや映画などあなたの身近なところで使われています。
有名どころでは、
- ドラゴンボール
- ワンピース
- 千と千尋の神隠し
- スターウォーズ
- タイタニック
- ライオン・キング
- オズの魔法使い
上記のように、多くの人を魅了する物語には「神話の法則」を題材にした型が使われています。
今回お話する神話の法則を知っておくと、今までとは違う視点で映画や漫画を見ることができ、面白さが倍増するのでおすすめです。
「神話の法則」の内容は?どんなことが書いてあるの?
神話の法則の気になる内容ですが、実はストーリーライティングについて書かれている本ではありません。
心を動かす文章を書く為の本といっても、別にセールス法が書かれている本とかではなくて、「ギリシャ神話がどういう風に作られているのか?」というのを説明している本です。
じゃあなぜ、神話の法則が人を魅了するストーリーの型だといわれているんでしょうか?
その理由は、神話の法則の中に人生と共通する部分が沢山でてくるからなんです。
神話の法則を使ったストーリーを見ているとわかるんですが、「あ、これなんか自分体験したことあるな」というような感情を無意識に感じ、ストーリーの主人公と自分の人生とを重ね合わせてみるようになります。
映画でいうと主人公と自分をいつの間にかリンクさせてみることになるので、自然とストーリーに引き込まれていくわけですね。
神話の法則のストーリー(物語)が「人々の共感」を生む理由
なぜ、神話の法則を使った物語が共感されやすいのかというと、神話の法則の中で書いてある内容が人生とで迎えるステージと共通する部分が多いからです。
ステージというのは、言い方を変えると「場面」のことで、人生でよく出くわすような場面のようなものです。
人生でおこるような様々な場面と同じようなシーンというのが神話の法則にも出てくるというわけです。
それともうひとつ共感される理由があります。
それが何かというと、共通のキャラクターが出てくることです。
神話の法則ではアーキタイプと呼ばれていますが、よくある典型的なキャラクターの事を指しています。
簡単にいうと、メンターとか敵とか、門番という風に色々なキャラクターが出てきて主人公に様々な影響を与えて登場することで、自分の人生とリンクする部分に気づき、共感するわけです。
具体的に、神話の法則は12のステージで構成されています。
それぞれのステージを具体的にお伝えしていきますね。
【具体例】神話の法則で使われている「12のステージ」とワンピースの関連性
神話の法則は、下記の12のステージから作られています。
- ステージ1. 日常の世界(オーディナリーワールド)
- ステージ2:冒険への誘い(コールトゥアドベンチャー)
- ステージ3.冒険への拒絶(リフューザル・オブ・ザ・コール)
- ステージ4.賢者との出会い(ミーティング・ウィズ・ザ・コール)
- ステージ5.第一関門突破(クロッシング・ザ・ファースト・シュレストホールド)
- ステージ6.試練、仲間、敵対者(テスト、アライズ、エネミーズ)
- ステージ7.最も危険な場所への接近(アプローチ・トゥ・ジ・インモウスト・ケイブ)
- ステージ8:最大の試練(オーディール)
- ステージ9.報酬(リウォード)
- ステージ10.帰路(ザ・ロード・バック)
- ステージ11.復活(リシュアラクション)
- ステージ12:宝を持って帰還(リターン・ウィズ・ジ・エリクサー)
1段ずつステージを上がっていくことで、未熟な主人公が成長していくというストーリー構成になっているんです。
では、ひとつずつ解説していきますね。
神話の法則ステージ1. 日常の世界(オーディナリーワールド)
神話の法則ではオーディナリーワールドという風に呼ばれています。
物語は、最初「必ず日常の世界から」はじまります。
つまり平穏な日々ですね。
いきなりバトルや事件から始まるんじゃなくて、主人公の平穏な生活シーンから始まります。
「東の海(イーストブルー)」のフーシャ村に住む少年モンキー・D・ルフィは、村に滞在していた海賊〝赤髪のシャンクス〟と親しくなり、海賊への憧れを募らせる。
神話の法則ステージ2:冒険への誘い(コールトゥアドベンチャー)
日常生活を過ごしている主人公に「冒険への誘い」があります。
これを神話の法則ではコールトゥアドベンチャーといっていますが、主人公が冒険に誘われるステージです。
誘うのは、人であったり何か使者が来て冒険への誘いをしてきたりとか、使者がそのまま賢者になることもあります。
つまり、「日常から抜け出すための何か出来事」が起こることになります。
ある時、酒場に山賊がやってきて日常に変化がおきます。
シャンクスが山賊に酒をぶっかけられるも、やり返さずに笑う赤髪海賊団とそれに怒るルフィのシーンが冒険への誘いにあたります。
神話の法則ステージ3.冒険への拒絶((リフューザル・オブ・ザ・コール)
冒険の旅は危険やリスクが生じるため、主人公は最初は旅立ちをためらったり、恐れ、拒絶します。
または、誰かが引き止めます。
これは、必ずあるわけではないですが、一部の主人公は一度冒険を断ります。
冒険に誘われるんですけど「いや、自分はいいです」みたいな。
ある日ルフィは「ゴムゴムの実」という悪魔の実を食べ、一生泳げない体になる代わりに、全身が伸び縮みするゴム人間となった。
それからしばらくして、ルフィはシャンクスを貶める山賊たちから怒りを買い、海に投げ込まれてしまう。
神話の法則ステージ4.賢者との出会い(ミーティング・ウィズ・ザ・コール)
賢者というのはメンターのことですね。
主人公を導く賢者(メンター)を紹介するステージです。
賢者の役割は、「主人公に見知らぬ世界と直面するための準備をさせる事」であり、賢者は案内や手引き、アドバイス、魔法のアイテムなどの手助けとなる道しるべを主人公に提供するなどします。
賢者は主人公とは一時的にしか行動を共にしない場合が多く、大体は賢者抜きで冒険に立ち向かうケースが多いです。
溺れかけ、巨大魚に食われそうになったルフィを、シャンクスは片腕を犠牲にして助け出した。
ルフィは、村を去る間際のシャンクスからトレードマークの麦わら帽子を託され、将来立派な海賊になって再会することを約束する
神話の法則ステージ5.第一関門突破(クロッシング・ザ・ファースト・シュレストホールド)
5つめのステージは、第一関門突破。
主人公が第一関門を突破する事で本格的な冒険が始めることになります、ここが第一幕のターニングポイントに当たる場面ですね。
“特別な世界”の入り口には関門があり、その関門には妨害する何かがあり、試練を乗り越えることで主人公は冒険の世界に入り込んでいくわけです。
一人でいったり、メンターと一緒にいくなどパターンはありますが、その関門を突破しなくてはいけないというような第一の試練が必ずでできます。
シャンクスとの別れから10年後、修行を重ね17歳になったルフィは、10年前に襲われた近海の主を倒し、海賊王を目指してフーシャ村を旅立つ
神話の法則ステージ6.試練、仲間、敵対者(テスト、アライズ、エネミーズ)
冒険の旅を始めた主人公の前に、試練や仲間、敵といった様々なキャラクター達が出てきます。
主人公は、連続して起こる試練を切り抜けていくことになります。
旅立ち直後にいきなり遭難したルフィは、海軍に入ることを夢見る少年コビーと出会う。ルフィは女海賊アルビダを倒し、コビーを海賊船の雑用係から解き放つ。
ルフィとコビーは海軍基地の町「シェルズタウン」に到着する。「海賊狩り」の異名を持つ悪名高い賞金稼ぎロロノア・ゾロが海軍に捕らえられていることを知ったルフィは、海軍基地に乗り込み、ゾロを救い出す。
三刀流の剣士ゾロは、圧政を振るう海軍大佐モーガンをルフィと共に倒し、ルフィの最初の仲間となる。二人はコビーと別れ、世界中の海賊が集まる海「偉大なる航路(グランドライン)」を目指す。
その後も、ナミ、ウソップ、サンジと仲間を増やしながら旅を続けていく。
神話の法則ステージ7.最も危険な場所への接近(アプローチ・トゥ・ジ・インモウスト・ケイブ)
7番目が最も危険な場所への接近。
簡単にいうと、「ラスボスのようなものがいる場所に近づいて行っているイメージ」ですね。
ドラクエで例えると魔王の城みたいな。
ここでは主人公が計画を立てたり入念な準備をして、強健な門番や罠といった降りかかる様々な障害を潜り抜けて行きます。
「偉大なる航路」を半周した麦わらの一味は、「シャボンディ諸島」にたどり着く。
元ロジャー海賊団副船長シルバーズ・レイリーや、別々のルートでシャボンディ諸島までやってきた同世代のライバル達とも顔を合わせる。
しかしそこで、ルフィが世界貴族を殴り飛ばす事件を起こし、海軍の追撃を受ける。島には海軍大将〝黄猿〟や人間兵器パシフィスタが現れ、ルフィ達は窮地に追いやられる。
その最中、再び現れたバーソロミュー・くまの能力で、一味は全員世界各地に離散してしまう。
神話の法則ステージ8.最大の試練(オーディール)
物語真ん中に来る山場の一つです。
最も危険な場所の最深部であり、最強の敵「影(悪役)」と対決します。
主人公に最大のピンチが訪れますが、最大の危機を序盤で”賢者”から受け取ったアイテムを使い回避します。
読者は主人公と共にピンチからの大逆転を見る事で興奮を感じるシーンとなります。
ボスである最強の敵は痛めつけられはするものの、そこではやられず、後々クライマックスである「復活」で再登場するパターンが多いようです。
ルフィはハンコックの助力を得て、深海の大監獄・インペルダウンに潜入する。獄内でかつて敵対したバギーやMr.3、Mr.2と再会し脱獄のため共闘。
途中で監獄署長マゼランの毒に冒され息絶えかけたところを、革命軍幹部エンポリオ・イワンコフに救われ、その協力を受ける。
ルフィ一行はエースがいるフロアを目指すが、一足遅くエースは処刑場に連行されてしまう。
エースを救うべくマリンフォードへ向かうことを決意したルフィは、さらに七武海ジンベエや元七武海クロコダイルと共闘し、インペルダウンからの脱獄を図る。多くの犠牲を払いつつも脱獄に成功する。
神話のステージ9.報酬(リウォード)
危険を乗り越えた後は、見事最大の試練を乗り越えた主人公に報酬が与えられます。
それは、冒険の目的であった何かを手に入れるという事であり、「復活」を控えた束の間の勝利でもあります。
魔王を倒して姫を連れて帰るというようなイメージですね。
エースを奪還すべく、世界最強の海賊〝白ひげ〟がマリンフォードに現れる。白ひげ海賊艦隊と、海軍本部・王下七武海との全面戦争が勃発した。
脱獄囚と共に戦場にたどり着いたルフィは、世界を揺るがす戦いの中でエースの救出に挑む。
頂上戦争で白ひげが戦死したことで、世界各地は大きく揺れ動いた。一方、目の前でエースを失い、自暴自棄に陥ったルフィは幼少時代を思い出す。エースともう一人の兄・サボと過ごした、ルフィの過去が明らかになる。
ルフィはジンベエの叱咤を受けて落ち着きを取り戻し、仲間たちとの再会を目指す。だが自らの弱さを知ったルフィは、レイリーの提案に乗り、立ち止まって力をつけることを決意する。
ルフィは世界中に飛ばされた仲間に向けて「2年後にシャボンディ諸島へ集合」というメッセージを送る。そのメッセージを受け取った麦わらの一味のメンバーは、それぞれの地で修行を始める。
神話の法則ステージ10.帰路(ザ・ロード・バック)
実はまだ完全にクリアとはなっておらず、手に入れた報酬を持ち帰る過程で何かしら危機が訪れます。
それは、「最大の試練」で逃げられ体勢を立て直したラスボスからの反撃や追跡だったり、残党による復讐。
または建物が壊れていくシーンでだったりします。
そういった最後の難関からの主人公の脱出を描くのがこのステージです。
「マリンフォード頂上戦争」から2年の月日が流れた。各々の島で修行を終え成長したルフィたちは、シャボンディ諸島に集結し、最後の海「新世界」を目指し再出発する。
神話の法則ステージ11.復活(リシュアラクション)
ストーリーの最大の山場であるクライマックス。
ラスボスとの最後の対決であり、成長のラストチャンスです。
「徹底的に主人公を追い詰め間違い無く死ぬ」という所までいきながら、大逆転し読者の感情を爆発させます。
最終的に悪は滅び、主人公は勝利を手にします。
「復活」での勝利は、得るものが大きい分代償も大きい場合があり、ほとんどの場合何かを犠牲にして達成されます。
それは仲間、信念、道具、自らの命であったりします。
まだワンピースでは描かれていないシーンです。
クライマックスに向け、最大の試練がルフィたちを待ち受けているが、さらなる成長を遂げて海賊王になっていくのではないと思っています。
神話の法則ステージ12:宝を持って帰還(リターン・ウィズ・ジ・エリクサー)
冒険によって手に入れた宝(物、経験、教訓)を”日常の世界”に持ち帰ります。
主人公がこの冒険の中で教訓を学び取ったか確かめるため、かつて主人公が失敗を犯した時と同じ状況がまた現れ、今度は正しい行動を取る事で読者に主人公の成長を理解させたりする場合もあります。
かつて、未熟だった主人公は内面的にも成長しており、新たな人格を備えて物語は完結することになります。
作品によっては、はっきり結論を出さないものや衝撃的などんでん返しが起こる場合もあります。
まだ、描かれていないシーンです。
ルフィが海賊王になったあと、どんな物語の終焉を迎えるのでしょうか。
楽しみですね
まとめ.神話の法則を活かしてストーリー性のある文章を書いてみよう
今回は、読まれる文章を書くなら必須となるストーリーライティングの教科書についてお伝えしました。
この記事を読んだからといって、すぐにストーリーライティングを書けるようにはなりません。
やっぱり練習は欠かせないものとなります。
ただし、お手本もなくガムシャラに練習するよりは、お手本を参考にして練習をした方が確実に上達は早くなります。
神話の法則を理解して文章を書くことができれば、あなたの文章は何倍も魅力的になります。
あなたの世界観を伝えるストーリーライティングをぜひ身につけてみてくださいね。
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